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オリジナル曲に合わせて、AvaとJordanが最初から最後まで登場する2分のアニメーションMVを制作しました。期間は2026年8月10日から16日まで、合計7日間です。
本当に重要だったのは、完成品の裏側にある制作量です。205回生成し、20分の映像素材を作り、最終編集に残ったのは1分58秒。およそ10:1の歩留まりでした。
aiミュージックビデオで見落とされがちなのは、この比率です。優秀なai music video generatorなら魅力的なクリップは出せます。ただ、完成度を決めるのは生成そのものより、選ぶ力、タイミング、再利用、そして編集です。
| 工程 | 結果 |
|---|---|
| 動画生成回数 | 205 |
| 成功した生成 | 203 |
| 生成した映像素材 | 20分10秒 |
| レビュー後に残したクリップ | 152 |
| 最終編集で使ったクリップ | ~90 |
| 最終編集のショット数 | 142 |
| 完成尺 | 1分58秒 |
| 制作期間 | 7日 |
フレーム、モーション、リップシンクまで。あなたのai ミュージックビデオ制作を、ひとつのスタジオで。
スタジオを開くまず世界観を作る。コンセプトアートからフレームへ
いきなり動かすことはしませんでした。先に静止画でルックを固め、色味、衣装、2人の顔を決めてからショット制作に入りました。
その後、各ショットの開始フレームを、コンセプトアートをもとにNano Banana 2で生成。一部は画像エディターで調整し、プロジェクト全体では151枚のフレームを使いました。
この順番が効きました。image-to-videoは、静止画の構図、光、キャラクター性を引き継ぎます。弱いフレームを、良いモーションプロンプトだけで救うのは難しいです。
キャラクターにはAvaとJordanという名前も付け、プロンプト内でもその名前を使いました。22本のプロンプトで名前を指定した結果、毎回髪型や服装を長く説明するよりも同一人物として保ちやすく、キャラクター一貫性を保つAI動画制作の大きな学びになりました。



最初の1カットを動かす前に作ったコンセプトアート。色、衣装、2人の顔を先に固定したことで、後続のすべての生成に基準が生まれました。
使用したエンジン、設定、クレジット
動画生成では、205回中204回にSeedance 2.0のimage-to-videoを使い、解像度は1080pにしました。そのうち155本は5秒クリップで各15クレジット、35本は10秒クリップで各30クレジットです。
平均レンダリング時間は94秒、最長は19分。機械処理時間は合計5.3時間でした。動画の台帳では、請求3,613クレジット、失敗2回分の返金30クレジット、差し引き3,583クレジットです。
プロジェクト全体では、およそ4,500クレジット相当になりました。ただし内訳の根拠は2種類あります。動画はアカウント台帳の実測値、フレームとリップシンクは使用アカウントに課金されていなかったため公開料金表から算出しています。
Nano Banana 2の画像は、プロンプト生成なら2クレジット、エディター経由なら4クレジットです。今回は両方を使ったため、151フレームで約453クレジット。Kling 2.6のリップシンクは音声1秒あたり2クレジットで、採用した27本は課金対象209秒、402クレジットでした。全33回のリップシンク生成では、およそ491クレジット相当です。
フレーム
- エンジン
- Nano Banana 2
- 回数
- 151 images
- 設定
- コンセプトアートをもとにテキストから画像生成とエディター調整
- クレジット
- ~453
モーション
- エンジン
- Seedance 2.0
- 回数
- 204 generations
- 設定
- 1080p、5秒・10秒、image-to-video
- クレジット
- 3,608
単発ショット
- エンジン
- Kling 2.6
- 回数
- 1 generation
- 設定
- 5秒、先頭フレーム+末尾フレーム
- クレジット
- 5
リップシンク
- エンジン
- Kling 2.6
- 回数
- 33 runs, 27 kept
- 設定
- 音声1秒あたり2クレジット
- クレジット
- ~491
音楽
- エンジン
- Suno
- 回数
- 1 track
- 設定
- 2分37秒を1分58秒に編集
- クレジット
- 別契約
合計
- エンジン
- —
- 回数
- —
- 設定
- 動画は実測、フレームとリップシンクは定価換算
- クレジット
- ≈ 4,500
難所その1:求めた感情と、出てくる感情のズレ
一番くり返した戦いはここでした。サビのパフォーマンスを求めても、モデルは初期値の表情に寄っていきます。目を大きく見開いた、まっすぐで、少し寂しそうな表情です。こちらが欲しかったのは、クールで、自分の魅力をわかっていて、少し楽しんでいるような顔でした。
ポジティブな形容だけでは、十分に変わりませんでした。効いたのは、1ショットの中で表情の流れを書くこと。10秒間ひとつの形容詞を保たせるのではなく、時間とともに顔が変わるように指定します。このタイプの表情アークは26本のプロンプトで使いました。
もうひとつ効いたのは、避けたい初期値を名指しで禁止することです。「no deer eyes, no innocent wide-eyed expression, no ballad sadness」のような表現を使い、19本のプロンプトに同種の禁止指定を入れました。モデルに強い先入観があるときは、形容詞より否定指定のほうが強い道具になります。
ここで効いているのは2つです。まず表情を「最初は playful、最後は sincere」という1ショット内の変化として書いていること。10秒間ひとつの形容詞で固定していません。もうひとつは最後の行で口元を予約していること。あとでリップシンクを当てるため、動きは抑えています。別テイクではさらに「no deer eyes, no innocent wide-eyed expression, no ballad sadness」と初期値を明確に禁止し、そこでようやく意図した印象に近づきました。
プロンプトを表示
10-second 16:9 animated music-video shot. Preserve the exact girl, face, bright blue eyes, long straight blonde hair, silver hair clip, denim jacket, black top, proportions and illustrated visual style from the reference image. She performs the chorus while sitting at her school desk, looking directly toward camera. Start playful and self-confident: soft knowing smile, slightly raised eyebrow. Then her expression gradually becomes more sincere and vulnerable, like she suddenly means the words more than she expected. Small head tilts, subtle shoulder rhythm, fingers lightly tapping the desk to the beat. Gentle hair movement. Slow cinematic push-in from medium shot to medium close-up. Background students stay soft and secondary. Keep mouth movement subtle and relaxed for later lip sync. No exaggerated gestures, no camera shake, no text, no style change.
感情の読み違いを直すには、「何をしないか」を具体的に書くのが効きます。
難所その2:同じ場所を、別アングルでもう一度
一度ロケーションができると、そこへ別アングルで戻る作業がワークフローの中でも特にコスト高になります。プロンプトを書き直すと変わりすぎることが多く、同じプロンプトをそのまま再生成するほうが価値がありました。
合計で21本のプロンプトを1バイトも変えずに複数回投入し、追加で29回生成しています。さらに、動きの両端を先頭フレームと末尾フレームで固定しました。プロジェクト内で1回だけ使ったKling 2.6生成は、このためのものです。
残るズレは被写界深度で吸収しました。34本のプロンプトで背景を柔らかく、二次的に扱うよう指定し、再生成したセットが細部まで完全一致しなくても成立するようにしました。
このプロンプトは1時間のあいだに、まったく同じ文面で4回投入しました。文章が悪かったわけではありません。男の子が後ろから近づき、2人が混ざらずに成立するまで、モデルに何度も頼む必要があっただけです。205回の生成のうち29回は、書き直しではなくリロールで進みました。
プロンプトを表示
cinematic shot based on the reference image. The blonde girl stands beside the punch bowl, relaxed and confident, holding a plastic cup. She raises the cup and takes one large sip of the party punch. At the same time, the dark-haired boy quietly approaches her from behind, naturally closing the distance through the party crowd. Just as she finishes the sip, he gently places one hand on her shoulder to get her attention. She has not turned around yet. Background guests continue talking, drinking and moving naturally. Warm amber party lighting, subtle camera push-in, realistic body movement. Preserve both characters, outfits, room layout and anime-cinematic style. No sudden motion, no morphing, no extra limbs.
14分差で2バージョンを生成しました。ひとつはキスする版、もうひとつは近づいて止まる版です。両方を残すのに60クレジットかかりましたが、結末を生成ではなく編集で決められるようになりました。迷うなら、そのほうが安いことがあります。
プロンプトを表示
Animate the provided image, preserving the exact faces, hairstyles, clothing and anime style of both characters. They stand very close, hold soft eye contact, slowly lean in but don't kiss. At the exact moment the camera begins a smooth cinematic 360° orbit around them, keeping their faces and upper bodies centered and sharp. The couple stays almost still with subtle breathing, blinking and slight hair movement. As the camera circles them, the entire party background gradually becomes heavily blurred with warm golden bokeh from candles and string lights, as if the world disappears around them. Shallow depth of field, natural parallax, warm amber rim light, romantic pacing, stable camera, high character consistency. Avoid face morphing, anatomy errors, camera shake, fast motion, focus loss, or characters rotating instead of the camera. /
一度作ったセットに戻ること。それがワークフロー全体でいちばん高くつきます。
リップシンクは最後にかける
手順はシンプルです。まずショットを生成し、そのあと完成曲のボーカルを使ってKling 2.6でリップシンクを適用しました。この方法で33本のリップシンク済みクリップを作っています。
意外と重要だったのは、元のモーションプロンプトです。口の動きはあとから置き換わるため、最初の生成では口元を控えめで自然に保つ必要がありました。10本のプロンプトでこの点を明記しています。最初から口の演技が強いショットは、上からリップシンクを当てるとぶつかりました。
注目すべきは、この元プロンプトが強い口の演技を求めていないことです。動きを控えめにし、口元を自然に残しています。あとで口を置き換えるためです。リップシンクは最後に、完成曲のボーカルをもとにKling 2.6で当てました。このショットは最終編集で4回使っています。
プロンプトを表示
Animate this image into a subtle cinematic anime-style video. Preserve the blonde woman’s identity, face, blue eyes, freckles, hair, outfit, headphones, bedroom, lighting, colors, and composition. She lies on her stomach along the bed, hands gently supporting her face, looking into the camera and softly singing along to music in her headphones. Add natural lip-sync, small mouth and jaw movements, gentle blinking, slight eyebrow motion, soft breathing, head movements to the rhythm, and minimal hair motion. Keep her gaze mostly on the camera. Fairy lights softly flicker, candle flame moves naturally, neon heart glow subtly varies. Camera stays almost static with a very slow push-in. Keep motion smooth and restrained. No face changes, warped hands, extra fingers, body distortion, outfit changes, camera cuts, or exaggerated movement.
誰もあまり語らない、本当の山場は編集
このプロジェクトでいちばん強く感じたのは、編集力のない生成スキルだけでは、ミュージックビデオではなくショーリールになってしまうということです。曲は130 BPM。完成版は118秒に142ショットを詰め込みました。
ショットの中央値は0.70秒で、付点4分音符に相当します。85ショットはちょうど1.5拍、31ショットはちょうど2拍。141カット中117カットが、半拍グリッドから半フレーム以内に収まっています。
密度は、どこで切るかでも作りました。141カット中80カットは別ロケーションへのジャンプです。学校、カフェ、寝室、パーティーをブロックごとに見せるのではなく、横断的に切り替えました。
素材の再利用も意図的です。82本の元クリップで123ショットを構成し、最大4回登場するクリップもありました。テンポは編集だけでなく生成段階にも入れています。19本のプロンプトでBPMを指定し、3本では振り付けを拍単位で書きました。77〜84秒付近の長めのホールドだけが息継ぎで、それも意図したものです。
振り付けは曲と同じ130 BPMの拍で書いています。「Beats 1-2: dancers step outward. 3-4: pom-poms rise in alternating diagonals.」というように、テンポのグリッド上で生成した動きは、編集でも同じグリッドできれいに切れます。19本のプロンプトでBPMを指定したのは、このためです。
プロンプトを表示
High-angle wide shot. Keep exactly the same five Westfield cheerleaders, uniforms and gym. Animate geometric synchronized choreography at 130 BPM. Beats 1-2: dancers step outward, expanding the formation. 3-4: pom-poms rise in alternating diagonals. 5-6: two quick steps inward while everyone rotates about 45°. 7-8: formation opens into a star-like shape and hits a strong final pose. Maintain precise spacing and synchronization. Camera slowly cranes downward and pushes toward center court. Floor reflections and pom-pom highlights move naturally. No added dancers, morphing, character drift or costume changes.
音付きの6秒間に9ショット。この動画のショット中央値は0.70秒、130 BPMの付点4分音符です。141カット中117カットは、半拍グリッドから半フレーム以内に着地しています。顔はこの条件に耐える必要があります。0.7秒ずつ、142回。
グリッドに合わせて生成し、グリッドに合わせて切る。
まだ壊れるところ
それでも2つの失敗は残りました。長めでほぼ静止したホールドでは、モデルが存在しない人物を幻覚し、2人目がふっと現れることがあります。文字もカメラが動くと崩れやすく、チアのユニフォームに入ったWESTFIELDは、ショットの途中で意味不明な文字列に流れていきました。
対策は地味ですが、効きました。ホールドを短くする。これは速い編集が自然に助けてくれます。読ませたい文字はフレーム外に出すか、フォーカス外に置く。そして、惜しいクリップは書き直さずリロールすることです。
終盤、肩越しに注目してください。何もないところから2人目がにじむように現れます。ほぼ静止したフレームを長く保つほど出やすい現象で、編集を短くした理由のひとつです。文字も同じように崩れます。カメラが動くたび、チアのWESTFIELDが意味を失っていきました。
うまくいった制作フロー
次にミュージックビデオ作成 AIを使うなら、この順番をそのまま繰り返します。
- 1まず曲を完成させる。編集はテンポの上に組むため、1ショットも生成する前に最終音源が必要です。
- 2紙の上でルックを設計する。色、衣装、2人の顔を固定したコンセプトアートが、その後すべてのプロンプトの基準になります。
- 3キャラクターに名前を付け、毎回のプロンプトで使う。「Ava」と「Jordan」は、外見説明だけよりも世代をまたいだ同一性を保ちやすくしました。
- 4Nano Banana 2でショットごとに1枚の開始フレームを作る。ゼロからではなく、コンセプトアートを起点にします。
- 5各フレームをSeedance 2.0で動かす。1080pの5秒が主力です。10秒は、本当に動きが必要なときだけ使います。
- 6曲のテンポに合わせて、動きを拍で書く。生成されたモーションが、編集で使うグリッドに乗りやすくなります。
- 7欲しくないものも書く。技術的には問題ないのに印象が違うショットの多くは、感情の初期値が原因です。
- 8リップシンクは最後にKling 2.6で入れる。顔をしっかり見せるショットだけに絞ります。
- 9拍で切り、ロケーションを横断してつなぐ。各シーンを固まりで見せるより、密度が出ます。
